会社を設立する場合、事業開始と同時に会社を設立する場合のほか、一旦、個人事業者としてスタートして、その後、事業が軌道に乗ってから法人成りするケースも多いと思います。
法人成りのメリット・デメリットについては、概ね「
独立・起業をお考えの方」の記事にまとめた通りですが、ここでは、法人成りの手順についてご紹介します。
1.会社形態をどうするか→「株式会社」か「合同会社」か
設立コストや設立手続きの簡便さからは、合同会社が有利です。設立コストは、株式会社の場合、30万円ほどですが、合同会社の場合ですと、おおよそその半分で済みます。
ですが、我が国では、まだまだ、金融機関や取引先からの信用力、社会的認知度の点では、株式会社の方が合同会社よりも高いのが現状です。従って、法人化した場合に、金融機関からの融資を必要としたり、取引先が大手企業等で、与信管理上、信用力を担保する必要がある場合、あるいは将来会社規模を大きくし、そのための人材確保等を必要とする場合には、株式会社形態を選択すべきでしょう。
他方、賃貸不動産オーナーが、プライベートカンパニーとしての不動産管理会社を設立して節税を図りたいようなケースでは、合同会社の設立は有用です。
2.資本金の規模をどうするか
現会社法下では最低資本金制度は撤廃されており、設立時の資本金額には何ら制限はありませんが、資本金は会社の財産面及び対外的信用の源であり一定額規模の資本金は必要でしょう。
一般的には、先半年程度の運転資金の原資として、(かつての有限会社の最低資本金の名残かもしれませんが)300万円ほどの資本金が妥当とされています。
なお、税務上は資本金1億円以下であれば、中小法人として多くの優遇税制を受けられます。
3.決算期をどうするか
個人事業と異なり、法人の決算期は任意に決められます。しかしながら、決算期には、特別の処理や棚卸作業が、必要となりますので、事情が許すなら、なるべく業務が忙しくない時期を選択するのが望ましいでしょう。
4.設立登記
設立にあたっては、定款、謄本の作成、登記が必要となります。設立登記については
会社設立のページをご参照ください。
5.社会保険の加入
一般的には、社会保険とは、健康保険と厚生年金をあわせたものを言います。法人の場合、この社会保険への加入が強制されており、そのための加入手続きとして次の届出書の提出が必要となります。
イ.健康保険・厚生年金保険新規適用届
ロ.健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
ハ.健康保険被保険者(異動)届
これらの届出は法人設立日から5日以内に年金事務所に提出することとなっていますが、添付書類をそろえることを考えると5日以内の提出は困難ですので、社会保険適用を受けたい日とその届け出期限についても、併せて年金事務所の窓口に確認するとよいでしょう。
6.その他
法人化直後の事務処理上の事項として、その他に次のようなことが必要となります。
・法人実印、法人銀行印、法人角印、法人スタンプの作成
・金融機関での法人口座開設
・名刺、封筒、取引先等への案内はがき作成など